「原因は分かりました。次はこの修正を実施してください」。ChatGPTに作業を頼んでいるのに、こんな説明で会話が終わることがありました。こちらは修正まで頼んだつもりなので、また「続けて」と入力することになります。
この繰り返しを減らしたくて、普段使っているChatGPTのカスタム指示を見直しました。結論は、「深く考えて」だけでなく、「何をしたら作業完了なのか」「どこで止まるべきなのか」まで書くことです。
今回は、元の指示のどこが実行を妨げそうだったか、ChatGPTとのやり取りを通じてどう書き換えたか、実際に設定した内容をまとめます。設定変更自体は済ませましたが、作業完了率が何%改善したかは、まだ測定していません。

相談に答えるAIと、仕事を進めるAIは同じではない
もともとのカスタム指示は、分析の品質を重視していました。例えば「THINK HARDER」「結論に至った説明をする」「代替案を示す」「必要なことはどんな細部でも質問する」といった内容です。
相談やレビューには有効な考え方です。ただ、コード修正や資料更新を依頼したときまでこの優先順位を適用すると、丁寧な説明や次の行動計画を提示した時点で一段落してしまう可能性があります。
実際、やり取りは次のようになりがちでした。
- 依頼:「問題を調べて修正して」
- AIの返事:「原因が判明しました。次は設定を変更して検証すべきです」
- こちらの追加指示:「それを実際にやって。続けて」
問題なのは説明が間違っていることではありません。求めた成果物がまだないのに、会話だけが完結することです。
どこが悪いのか、カスタム指示自体を点検した
ChatGPTに「プロジェクト専用の指示の問題か、それとも全体のスタイルの問題か」と問い直しました。そこで、元のカスタム指示にも見直すべき箇所があると整理しました。
| 元の指示の方向性 | 実行タスクで起こり得る問題 | 書き換え方 |
|---|---|---|
| 結論・理由・代替案・行動計画を常に提示 | 計画の提示がゴールになりやすい | 実行依頼では成果物と検証を優先 |
| 必要な情報は細かいことでもすべて質問 | 軽微な判断まで確認待ちになる | 不可欠な情報と重大な承認だけ質問 |
| 深い推論を常に追求 | 分析の深掘りが実作業を押しのける | 十分に調べたら次の実行に移る |
| 止まる条件を明示していない | 早く止まったり、逆に危険な操作まで進めたりする | 完了・承認・障害・上限を停止条件にする |
ただし、これは設定文を読んだうえでの原因仮説です。特定の停止がカスタム指示だけで発生したと実証できたわけではありません。利用可能なツール、アクセス権、サービス側の制限でも動作は変わります。
新しい中心ルールは「説明より、許可された実行」
書き換えた指示では、冒頭の優先順位を変えました。
回答を求められたら正確に答える。作業を依頼されたら、許可された範囲で実際に遂行する。
単なるスローガンで終わらせず、調査から検証までの連続動作も指定しています。
変更前:説明で停止
依頼 → 原因分析 → 次にやることを説明 → 終了
変更後:実行できる範囲を進める
依頼 → 調査 → 修正 → テスト → 再修正 → 結果確認
もちろん、指示しただけでツールが増えるわけではありません。実際に操作できる環境と権限があり、作業が許可されていることが前提です。
そのまま使える、短いカスタム指示の例
今回の設定から、一般的な用途に使いやすい部分を抜き出すと次のようになります。用途に合わせて編集してください。
あなたは、正確な分析と実行を両立するアシスタントです。
最優先:質問には正確に答え、作業依頼には許可された範囲で実際に取り組んでください。
「調査して解決」「修正して」「作成して」「完了まで」と依頼された場合は、説明や計画だけで終了しないでください。
利用できるツールと権限を確認し、調査→実行→検証→必要なら修正→再検証まで、同じ応答内で進められる工程を続けてください。
次の安全な操作が実行可能なら、「次は○○してください」と提案して止まるのではなく、実際に実行してください。
質問するのは、不可欠な情報、重大な未決定事項、明示的な承認が必要な操作に限ってください。軽微な判断は既存の条件と合理的な仮定で進めてください。
停止してよいのは、完了を検証した場合、必要な承認に到達した場合、正規の方法では解消できない障害がある場合、実行環境の上限に達した場合です。
実行権限がない操作、サービス側に禁止された操作、安全性を理由に拒否された操作を別経路で回避しないでください。
最終報告には、実際に行ったこと、検証結果、未完了事項と停止理由を分けて記載してください。実施していないことを完了と表現しないでください。
大事なのは長さよりも、「何をもって完了とするか」が読めることです。相談が中心なら、ここまで実行寄りにする必要はありません。
ChatGPTの設定を変える方法
スマートフォンならChatGPTの設定 → ChatGPTをカスタマイズ → カスタム指示、Web版なら設定 → パーソナライズ → カスタム指示から編集できます。画面の表示名は更新で変わることがあります。最新の場所はOpenAIの公式ヘルプで確認してください。
カスタム指示は通常の会話全体に関わるものです。開発リポジトリの運用ルール、特定プロジェクトのルール、公開・決済などの承認規則とは役割が異なります。全用途に開発用の長い手順を詰め込むより、共通の行動原則をカスタム指示に、作業固有の約束をプロジェクト側に置くほうが管理しやすくなります。
設定変更だけでは解決しない限界もある
ここは誤解しやすい点です。
通常のChatGPTが返答を終えた後、そのまま無期限に実行し続けるわけではありません。 利用中の機能や接続ツールによって、操作できる範囲や継続方法が異なります。継続処理が必要なら、対応した自動実行・タスク管理の仕組みも別に用意する必要があります。
また、許可のない操作を自動化する指示はおすすめしません。購入、決済、外部への投稿、本番環境の破壊的変更などは、実行前の確認が必要な場合があります。不要な確認を減らすことと、安全装置を外すことは別です。
モデルの「考える力」を強調するだけで、使えるツールや権限が増えることもありません。カスタム指示は行動方針を調整する手段であり、成果を保証するスイッチではないのです。
反映後、どう検証するか
今回、改訂した指示を実際のChatGPTの設定に反映しました。ここまでが確認できた事実です。 同じ種類の作業で継続率が改善したかどうかは、今後比較する必要があります。
検証するなら、難しいベンチマークより先に、許可された小さな作業をいくつか頼み、次の点を記録するとよさそうです。
- 説明止まりの回数:次の操作ができるのに、手順だけ提示して終わっていないか。
- 実際に動いた証拠:ファイル更新、実行結果、再取得した検証データがあるか。
- 不要な質問の回数:追加承認が不要な軽微な事項まで聞いていないか。
- 正しく停止した回数:本当に必要な承認や障害では止まれているか。
3〜5件程度の同種作業で変更前後の記録を比較すれば、主観だけより状況を把握しやすくなります。ただし、この方法自体の改善効果は未検証です。
まとめ:AIの説明の上手さと、仕事の完了は別に評価する
今回の見直しで変えたのは、ChatGPTへの期待の伝え方です。「深く考えて、理由を説明して」に加えて、「許可された範囲で実際に進めて、成果を確認して」を優先しました。
カスタム指示は反映済みですが、改善効果を断定する段階ではありません。まずは小さな実作業で試し、「続けて」が減ったか、必要なところでちゃんと止まれたかを確認します。
同じ悩みがあるなら、いまのカスタム指示を読んで、回答の完成を求めているのか、作業の完成を求めているのかを見直すところから始めるのが実用的です。
関連記事:AIエージェントに毎回「続けて」と打たなくてよくする方法では、ChatGPTのカスタム指示ではなく、継続実行する開発エージェント側の停止条件を扱っています。